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映画デビューを果たしたロレンソ・フェロさん!
【映画、ときどき私】 vol. 252
1000人もの候補者のなかから、主人公のカルリートス役に抜擢されたロレンソさん。スクリーンでは鮮烈な存在感を放ち、すでに各国で注目を集めていますが、今回は演じるうえでの思いや20歳の素顔について語っていただきました。
―劇中では強盗と殺人を繰り返す美しき犯罪者の役を演じられましたが、まずはカルリートスという人物をどのようにとらえていましたか?
ロレンソさん 彼は自分のことを「神の使い」と言っていますが、本当に神さまがいるのかどうかを試しているところがあると思いました。つまり、「自分が人殺しをしたら神さまは天から降りてくるんだろうか」とか「キリストのように天に連れて行ってくれるんだろうか」と考えている人だったということです。
あと、彼はジェームズ・ディーンやマーロン・ブランドの映画に影響されていたので、映画のなかでもそういう格好や歩き方は僕も意識しました。
―ロレンソさんはカルリートスとは違う性格だとは思いますが、役に近づけるためにしたことはありますか?
ロレンソさん もちろん彼の暗い部分はまったく違いますが、実は僕とカルリートスには共通点もありました。それは、子どもらしさや無邪気さ、いたずら好きであること。そして、人生を遊びととらえているところや周りの人の気を引こうとするところは似ていると思います。
実際、撮影中は多くのシーンで彼を演じるというよりも、自分自身として振舞っていることもあったほど。だからこそ、僕はこの役に選ばれたんだと感じました。
―では、できあがった作品を観た感想は?
ロレンソさん 複雑なテーマではありますが、シンプルな形で示している作品。重い内容であったとしても、カラフルでクールな映画として描かれているので、ブラックというよりもローズ色の映画に仕上がっていると思いました。
すべては生きている実感を味わうため
―カルリートスが犯罪を繰り返す理由には、お金だけではない“何か”を求めていたところがあったと思います。ロレンソさんはどのように感じましたか?
ロレンソさん 彼は「生きている」という実感を味わうために盗みを働いていた人。それは例えるなら、サッカーを愛する人がサッカーをしているときに生きていると感じるのと同じことなんです。だから、彼は盗みを愛していたんじゃないかなと思っています。
―カルリートスのモデルとなったのは、カルロス・ロブレド・プッチという1971年に世界を震撼させた犯罪者ですが、彼のことは前から知っていましたか?
ロレンソさん アルゼンチンではすごく有名な人ですが、僕は彼のことは知りませんでした。おそらく、僕と同じ世代の若者たちはあまり知らないかなと思います。なので、僕はこの映画の話をもらったときにネット検索をして調べたほどです。
―彼のことを詳しく知るうちに、どのような印象を持ちましたか?
ロレンソさん まずリサーチでわかったのは、映画に現れるカルリートスは、実在のカルロスとは本質的には異なる人物であるということ。なぜなら、カルロスはロックスターのような部分もありながら、罪を犯し、「こんなクレイジーな人が世の中にいるんだ」という代表格のような人だったからです。
そして、彼は社会が作ってきた枠組みを簡単に壊すことのできる人でもあると感じました。そんなふうに「壊したい!」という衝動は誰もが持っているとは思いますが、普通は自制心が働いてやらないだけ。でも、彼は捕まるとか死ぬといったことを考えずにできる人なんです。みながそういうことをやっていたら、社会はカオスになっていたと思いますよ。
犯人像のステレオタイプが壊された
―当時、カルロスが騒がれた理由のひとつは、彼の美しいルックス。そういった美貌が犯罪へと走らせた原因になったとは思わなかったですか?
ロレンソさん 僕はそうだとは思いません。ただ、彼が捕まったときに「ロンブローゾの理論を壊した」とは言われていたようです。その理論というのは、「生まれつきの犯罪者は貧しくて、醜い顔をしていて、浅黒くて、耳がとがっていて、歯がない」というのもの。にもかかわらず、彼はいい地区の中流階級の出身で、わりとお金も持っている家族の息子だったんですよね。
それによって、これまでの犯人像におけるステレオタイプだけでなく、人種差別も壊すことに繋がった部分はあったと思います。つまり、身なりがきちんとしたモデルのような人間でも犯罪に手を染めることがあるということです。
―ちなみに、ロレンソさんもビジュアルにフォーカスされることが多いですが、そのことについてはどう感じていますか?
ロレンソさん 僕にとって、外見はあまり重要ではないですね。もちろん、「かっこいい」と言われて居心地は悪くないですが、それはすごく表面的なことですから。
―いまでは、「南米のレオナルド・ディカプリオ」と呼ばれたり、ティモシー・シャラメと比べられたりすることもありますよね?
ロレンソさん そう言われることについては、「やっぱりアメリカ人に比べられるんだな」という思いがつねにありますね。彼らは素晴らしいアーティストなので、すごく尊敬もしていますが、いつも欧米の人の足もとにいるような感じがしてしまうのは事実。そうやって比較される運命なんだなと思います。
新しいことにどんどん挑戦していきたい
―劇中のカルリートスは17歳ですが、ご自身はどんな少年でしたか?
ロレンソさん いまもまだバカですけど、17歳の僕はいまよりもずっとバカでした……。本当にそれだけでしたよ。(笑)
―では、20歳になって注目される立場にいることを想像していましたか?
ロレンソさん そのころは名声を得たいと考えたこともないですし、現在のような状況というのもまったく想像していなかったですね。
―いまでは俳優としてだけでなく、ラップシンガーとしても活躍されていますが、20代はどう過ごしていきたいですか?
ロレンソさん 仕事面においては、もっと映画に出たいと思っています。監督業にも興味があるので、短編映画を作ってみたいですね。あとは、世界のいろいろなところを旅したり、新しいことにどんどん挑戦したりしてみたいと思っています。
とはいえ、この取材が終わって、外に出て何をするかさえわかっていないので、具体的なことはまだわかりません。というのも、僕は同じことをすることが耐えられない性格なので、あまり先のことを考えて決めてしまったら、楽しむことができないんじゃないかなという気がしているからです。
―では、いま一番興味があることは?
ロレンソさん いま隣にいる彼女です(笑)。付き合って7か月になります。
―それはステキですね。彼女のどういうところに魅力を感じていますか?
ロレンソさん 彼女は時間をすごく丁寧に使う人。そのせいで時々ケンカにもなりますが、自分とはあまりにも違うので、尊敬もしています。
―ロレンソさんにとって、恋愛は人生のモチベーションにもなりますか?
ロレンソさん そうですね、すごく助けられていると思います。
―ちなみに、日本に来たのは今回が初めてということですが、日本で好きなものや影響を受けたものはありますか?
ロレンソさん 北野武さんが大好きです。彼の映画も、彼のユーモアも大好きなので。あと、日本のゲームやキャラクターも好きですが、なかでもポケモンは新しい世界を革命したと僕は思っていて、尊敬の念も持っています。世界を変えたのは、『スター・ウォーズ』かポケモンだと思っていますが、僕は『スター・ウォーズ』よりもポケモンのほうが好きです!
今後はほかの国でも仕事をしてみたい
―では、ご自身もポケモンのように、世界規模で活躍したいと考えているのでしょうか? 最後に今後へ向けての思いを聞かせてください。
ロレンソさん もちろん、自分の国にいると居心地はすごくいいですが、ほかの国に行ってみたいという気持ちもあります。ただ、それがハリウッドであるとは限らないので、スペインやメキシコにも興味を持っているところです。
というのも、世界の注目はアメリカに集まっていますし、才能のあるアーティストたちがたくさんいるのも事実ですが、もしかしたらまだ知られていないだけで、アメリカ以外の国々にも優れた人たちがいるかもしれないですからね。なので、幅広い国に注目していきたいと思っています。
インタビューを終えてみて……。
たたずまいや目線に大人の色気を漂わせながらも、少年のようないたずらっ子の笑顔を見せるロレンソさん。そのどちらの表情にも惹きつけられてしまうところですが、劇中でも唯一無二の魅力を惜しみなく発揮しているので、ぜひみなさんも堪能してください。
罪な美しさに心がざわつく!
一度知ったら元には戻れない高揚感を味わわせてくれる本作。天使の顔をした悪魔のようなカルリートスが繰り広げる世界に、思わず興奮し、陶酔してしまうはず。世界を虜にし、人生を狂わせるような美しさをその目に焼きつけてみて!
ストーリー
留守宅の豪邸で盗みを働く17歳のカルリートス。ブロンドの巻き髪と類まれな美貌を誇る少年だったが、同時に平然と罪を犯す危険性を持ち合わせていた。ある日、カルリートスは新しい学校で荒々しい魅力を放つ少年ラモンと出会い、お互いに強く惹かれ合う。そして、意気投合した2人はさまざまな犯罪に手を染めていくのだった……。
興奮が止まらない予告編はこちら!
作品情報
『永遠に僕のもの』
8月16日(金)より、渋谷シネクイント、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館他全国順次ロードショー
配給:ギャガ
©2018 CAPITAL INTELECTUAL S.A / UNDERGROUND PRODUCCIONES / EL DESEO
https://gaga.ne.jp/eiennibokunomono/
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