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発想力の素“アイデア”は、人生そのものを豊かにする。
大ヒット商品を生む元になったり、世界を変えるようなイノベーションに繋がったり。その素になっているのは、往々にしてちょっとしたひらめきによるアイデア。
「それほどスケールの大きな話でなくても、アイデアがあれば、あなたの仕事や生活は大きく変わります。なぜなら、アイデアは選択肢を増やすことに他なりません。企画を立案する立場でない人でもアイデアを増やし発想力を鍛えることによって、マンネリ化した仕事や生活を打破でき、あなた自身だけでなく他の人の人生をも豊かにできるんです」と、発想法のプロである加藤昌治さん。
たとえば、わかりづらくて大半の社員が間違える定型書類のフォーマットを1cm変えてみたら? その選択肢を提案できれば、多くの人に感謝されるはず。また、歓送迎会の店をさっと何軒も提案できるだけでも、一目置かれること間違いなし。でも、その選択肢=アイデアがなかなか出てこない…。
「多くの人がそう言いますが、その原因は練習が足りないからなんです。考えることはスポーツと同じ。反復練習をしないとスムーズに体が動かないように、普段から考えることを習慣にしておかないと、アイデアも出ません」
練習の場は、日常のそこかしこにあるそう。たとえばランチ。
「いつものお店で同じメニューを注文すれば、間違いない。でも、同じ時間とお金で、未体験のメニューを注文すれば、新しい経験ができます。そうして得た経験や発見に基づくアイデアは、会社のデスクで唸っていても絶対に出てきません。経験の数だけアイデアのデータはためられるんです」
そうしてためられたアイデアは、“ギブ”できて初めて生きてくる。
「“ギブ”するとは、企画や提案を必要としている人に適切なアイデアを選んでギフトすること。仕事における企画書などだけでなく、女子会のお店候補だったり、彼へのプレゼントも当てはまります」
アイデアは、どこから出てくる?
「この問いに対する答えは、あなた自身。自分が見聞きしたり体験したことがそのままアイデアに反映されます」。
そのため、どれだけ幅広い体験をするかが最も重要。そして、アイデアから提案や企画は作られていく。
「アイデアと提案・企画は似て非なるもの。アイデアは実現可能な提案に整える前段階なので、良し悪しはありません。妄想だってOK。ある意味“テキトー”でいいんです。その代わり、欲しいのは「数」です。そして最後、“ギブ”の段階で最適な内容に精査しましょう」
アイデア豊富な人になるには日頃からのレッスンが大事!
スポーツと同じように、反復練習によって上達するアイデア出しも、むやみやたらにやってもあまり意味はない。
「ポイントは2つ。人と話すことで、新しいアイデアが引き出されたり、既存のアイデアが膨らみます。その時は、固有名詞や具体的な言葉を使うように意識しましょう。また、多くの人は自分がどう思われるかを気にして、体験を人と共有したがりませんが、好きなことや関心事は出せば出すほど、アイデアに繋がります」
アイデアを増やすポイント!
具体的な言葉を使う。
「最近、何かあった?」という抽象的な質問よりも、「この24時間で」と聞いたほうが、具体的かつ面白い回答が出て、アイデアが生まれやすい。
自分の体験をさらけ出す。
自分の趣味嗜好が出ているような体験を恥ずかしがらず話すと、「いいね!」と会話が転がり、新しいアイデアの素がもたらされる可能性が高まる。
かとう・まさはる 博報堂PR局シニアPRディレクター。マーケティングとマネジメントの両面から企画立案するプロ。著書に『考具』『アイデアはどこからやってくるのか』。
※『anan』2019年7月31日号より。イラスト・中根ゆたか 取材、文・小泉咲子
(by anan編集部)
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