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開館は1995年。当初は、上野にある東京都美術館の収蔵品を移管し、スタートした経緯が。つまり、東京都美術館が開館した1926年から数えると、約100年間にわたって収集したコレクションを持つ。
今回の展覧会では、1910年代から2010年代までに制作された約5400点のうち、選りすぐりの作品が登場。日本の前衛美術、1世紀の潮流を追う同館コレクションで、初の大規模開催となる。
「当館のコレクションは、戦前から今日まで、それぞれの時代で最も実験的な表現の集積です」と学芸員の関直子さん。その中で、大正期から平成生まれの作家まで、共通することとは?
「東アジアの端っこにある日本には、海外からの情報は常に時差をもって入ってきます。そこで、日本の今と海外の動向、かつ自分の状況に対してどう反応してみせるかが、ずっと大きなテーマだったといえます」
ここで目にするのは、オーソドックスな美術史に収まりきらない、エネルギーの塊のようなもの。
「彼らの実践から、現在の私たちにつながる、鮮明な何かを感じ取っていただけるはず」
初日3月29日は入館無料、20時まで。人気レストラン『100本のスプーン』が出店するなど、ショップもリ・オープン。新しくなったMOTで何が待ち受けているか、ワクワクして出かけてみたい。
企画展・百年の編み手たち-流動する日本の近現代美術-
「戦前でいえば、当時最新のシュールレアリスムとキュビスムを組み合わせたり、近年は新しいテクノロジーやメディアを既存の表現と組み合わせたり」。3フロアに及ぶ企画展では、そうした編集的な意図を持った作家にフォーカス。「編集」という切り口から1世紀を振り返る。戦前なら中原實、桂ゆき、戦後は森村泰昌らに注目。
焼け野原の東京から
歯科医と前衛芸術家、二足の草鞋を履いた中原實。手前は昼寝する子ども、奥には戦時中に伐採された杉の切り株から、若木が萌える様が。次世代への希望を描くメッセージ性の高い作品。中原實《杉の子》1947
昭和の“隠れレジスタンス”
1913年生まれの桂ゆきは、戦前~戦後の検閲が厳しい時代に発表を続けた稀有な存在。1つの絵に複数の表現方法を用い、社会的なメッセージを巧みに盛り込んだ作品で知られる。桂ゆき《抵抗》1952
パロディ?or自虐?
現代の“編み手”の代表選手、森村泰昌。名画中の人物になりきるシリーズでは、森村本人が演じる人物の不恰好さに笑いを誘われると同時に、西洋とのギャップを突きつけられる。森村泰昌《肖像(少年1、2、3)》1988
コレクション展・MOTコレクションただいま/はじめまして
休館中に新たに収蔵された約400点から、主に2010年代に制作された作品をお披露目。「21世紀の作家たちは、表現方法の追求はもちろん、日本社会のさまざまな課題に真摯に取り組もうとする意識が強い」。近年は若手の新しい試みが収集の大きな柱に。彼らの問題意識、チャレンジに時代の萌芽が読み取れるかもしれない。
描くこと=生きること
2015年、25歳で夭逝した中園孔二。東京藝術大学在学中より、モチーフを重ねる作風で知られる。上はスマホで事件現場(?)を撮影する人物というリアルさとおとぎ話的な世界が共存。中園孔二《無題》2012
2016年の新女神像
1本の木から彫り上げる少年少女像で知られる棚田康司。成年女性をモデルとした本作は近年の新境地。もろさと強さを兼ね備えた姿は、流れる雨水から霊感を得たとされる。棚田康司《雨の像》2016
「東京都現代美術館 リニューアル・オープン記念展」 東京都江東区三好4-1-1(木場公園内) 3月29日(金)~6月16日(日) 10時~18時(3/29は20時まで。入場は閉館の30分前まで) 月曜(4/29、5/6は開館)、5/7休 一般1300円ほか TEL:03・5777・8600(ハローダイヤル)
※『anan』2019年4月3日号より。文・松本あかね
(by anan編集部)
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