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小学校教諭の綾乃は、行きつけのバーで、朱里という女性と初対面で意気投合。熱いキスまでする仲に。しかし、実は綾乃が既婚者であるなど、いわゆる大人の事情が混み入っている。
「『恋人や配偶者がいるなら諦めろよ。そっちを解消してから次行きなよ』って話になっちゃうと、それで終わってしまう話なのですが…(笑)。それを解消しないままいきなり恋が始まってしまったことに対する、驚きや戸惑い、狡(ずる)さなどを、綾乃自身もたぶん感じているんですよね。1話めの時点では、綾乃はちっとも誠実じゃないのでそれを修正するためにもがいたりはしているんですが」
ヘテロなのに自分の気持ちに戸惑う綾乃と、レズビアンで女性との恋で傷ついたことがある朱里。共に自分の気持ちを持て余しつつ、それでも好きな気持ちが膨れ上がっていく。そんな切なさが、綾乃や朱里の目ヂカラや物言わぬときの唇のニュアンスからひしひしと伝わって、キュンとせずにはいられない。
「豊かな表情の作り方は難しくて、毎回悩みどころですね。はっきりとした喜怒哀楽よりも、それぞれの間に存在する“少し悲しい”とか“少し嫌な気分”のような、表向きはあまり表情には出さないけれど、胸の内には渦巻く複雑な感情があって…というのを、ただの真顔や無表情になってしまわないよう、うまく表せたらなと思っています」
綾乃の夫は、妻からどストレートに「気になる人がいる」と言われて困惑。また、姑も、アポなしで訪ねてくるような人で、夫や姑の存在が、ふたりの関係にどんな影響を与えていくのかも気になるところ。
「夫にしてみたら、妻の告白は青天の霹靂すぎてなかなか感情が追いつかない事態でしょう。彼の内面の変化を、段階を経てじっくり描いていきたいです。お姑さんもただのチクチクばあさんというより、この人はこの人で家族の問題に頭を悩ませている。根は悪い人じゃないと思うので、そういう人間的な部分も描けたらいいなぁと思っています」
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『おとなになっても』1 小学校教諭の綾乃と、ダイニングバーで働く朱里の一目惚れラブストーリー。女子高生同士の心の揺れを描いた名作『青い花』の著者が、30代女性の愛に挑む。講談社 440円
しむら・たかこ マンガ家。1973年、神奈川県生まれ。本作のほか、2015年に、第19回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞した『淡島百景』(既刊3巻)など連載多数。
※『anan』2019年12月25日号より。写真・中島慶子 インタビュー、文・三浦天紗子
(by anan編集部)
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