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夜パフェ。って響きは魅力的でも、しっくりくるものに出合うことは少ない。だってただでさえ料理でお腹いっぱいのところへ、生クリームにアイスに果物に……って詰め込むのだから、しんどいのも当たり前。夜パフェは難しい食べ物だなあと心底思う。
そこへきて表参道『EMME』の夜パフェはすごい。秋の和栗と柿のパフェは重すぎず完璧なバランスで、最後まで後腐れなくいただくことができるのだ。
「まずは温度。食べ終わりがぬるいと甘さが際立つので、底に柿とジンのシャーベットを忍ばせます」。なるほど。「それから水分量。するりと食べ進められ、混ざり合った時のおいしさが際立つよう、口溶けの良い素材を多く使います」。たしかにこれは、飲めるパフェだ。「それから食感や五味のバランス。塩味として柿の種を入れているんです」。と、アイデアフルかつ技に満ちた構築力を発揮するのはパティシエの延命寺美也さん。表参道のフレンチ『LATURE』でシェフパティシエを務めたのち、夫でソムリエの延命寺信一さんと、今年の9月に同店をオープン。ランチでは美也さんが中心となってアシェットデセールを。夜はお酒とよく合うフレンチ仕込みの洋風料理を楽しむのもよし、パフェとグラスシャンパンを合わせてデザートバーを堪能するもよし。こんな幸せ、一日の締めくくりに最高な場所が見つかった。
左から、夜パフェ¥1,000、仔羊のナヴァラン¥2,200、グラスワイン¥1,200。夜は自家製カニクリームコロッケ¥1,200やボロネーゼ¥1,600など「お酒に合ってストレートにおいしい洋風料理」がずらり。
『EMME』 東京都渋谷区渋谷2-3-19 ローゼ青山ビル1F TEL:03・6452・6167 12:00~16:00(15:30LO)、17:00~翌2:00(1:30LO)*0時以降はバー営業 不定休
ひらの・さきこ 1991年生まれ。フードライター。著書にエッセイ集『生まれた時からアルデンテ』(平凡社)。
※『anan』2019年11月6日号より。写真・清水奈緒 取材、文・平野紗季子
(by anan編集部)
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