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今年めでたくデビュー45周年を迎えたアルフィー。音楽への熱い想いや、号泣モノの苦労話などを伺おうと思ったのですが、3人から出るのは愉快な仲良しエピソードばかり。アイドルなどの“チーム男子”好きのみなさんに、この仲良しぶりをぜひ読んでいただきたい。かなり響くと思います!!
――高見沢さんと桜井さんは、同じ高校に通っていて、そのときに出会ったと伺っていますが。
高見沢:そう。ふたりとも音楽をやっててね。この人(桜井さん)はフォークで、僕はロック。当時はロックは人気なくて、学園祭でライブやっても、桜井のクラスはいっぱいになるんだけど僕のクラスはガラガラで。だから敵対心を持ってましたよ(笑)。
坂崎:まあ当時、ロックは不良だってイメージがあったからね。
高見沢:全然そんなことなかったんだけどねぇ。
桜井:僕ももちろん高見沢のことは知っていて。派手だったから目立ってましたし。僕も学園祭のとき中庭で演奏してるのを見て、すっごい高い声出して歌ってるヤツがいるぞって思ってた(笑)。
坂崎:髪型はどうだったの?
桜井:高見沢の髪型?
高見沢:“すだれ”じゃない?
桜井:“すだれ”だった!!(笑) 当時流行ってたロッド・スチュワート(イギリスのロックミュージシャン)みたいに、トップを短めに切って立てて、裾が長めって髪型にしてたんだけど、髪質が柔らかいから、立たないわけ。それで、“すだれ”みたいになってた。あと、眉毛剃ってました。
坂崎:ほぅ~(笑)。
高見沢:高校生のクセに、グラムロックに憧れてたからね(笑)。
桜井:へぇ…。でもそれを見て、こいつ不良だと思ってました(笑)。
――その後、大学で坂崎さんに出会うわけですか?
坂崎:いえ、高3の春に銀座で音楽のコンテストがあって、僕も桜井のバンドもエントリーしてて、そこで知り合いました。桜井、いい声してるなぁっていうのが第一印象。で、夏休みに偶然会って練習見に行き、そこからなんとなく桜井のバンドに入る感じになって。
桜井:高見沢には、高校のときに会ったことある?
坂崎:高3の文化祭で会ってるよ。それで、僕は桜井と同じ大学に行こうと思って明治学院大学に入ったら、校舎でばったり高見沢に会って。話しかけたら、「音楽、今やってねぇんだ」って。
高見沢:そう、やめたんです。プロになれるほどの実力でもないと思っていたので。教職とって、親の後をついで先生にでもなるかな、と思ってましたね、当時は。
坂崎:それで、「どんな曲聴いてたの? どんなバンドコピーしてたの? ここじゃなんだから俺のアパート来いよ」って、お持ち帰りしたんです(笑)。
高見沢:なぁ、悪いやつに引っかかっちゃってね(笑)。それで坂崎のアパートでふたりでギター弾きながらビートルズとか歌ってたんですけど、初めてハーモニーってものを坂崎とやってみたら、すごく気持ちよくて、おもしろくて、病みつきになっちゃった。「明日のライブ、ちょっとギター手伝ってくれない?」って誘われて、行ってみたら桜井がいてね。「お前何しに来たの?」「手伝いに」「うそ!!」みたいな。それで、僕もそのバンドに入ることに。
――「バンドやろうぜ、目指そうぜ!」みたいな感じではなく…?
高見沢:そんなもんですよ、友達関係でバンド始めるって。
坂崎:アマチュアだから、誰が入ろうがやめようが深く考える必要ないし。それよりも、高見沢は桜井より高い声が出るから、今まで高くて歌えないと諦めてた曲が演奏できることが嬉しくて嬉しくて。それが本当に楽しかったんです。
――3人で音楽をやるということの核に、ハーモニーがあった。
坂崎:そう。僕らの上の世代は、“音楽を通じてメッセージを!”みたいな熱い感じだったけれど、それに比べると、のんびり育ってきちゃった世代なんですよ。
高見沢:所詮すねかじりの次男坊3人組だしね(笑)。
桜井:全然説得力ないよね(笑)。
坂崎:そうなんです。メッセージとかよりも、きれいなハーモニーって、歌っても気持ちいいし、聴いても気持ちいいねって。それだけですよ。今もその気持ちで音楽をやってるし。
高見沢:音楽って、聴いてる人が気持ちよくなってくれればいいと思うんです。3人でハモって歌うことで、音楽の楽しさを伝えられれば、それでもう十分。
――そんな想いで始まったアルフィーですが、45年、紆余曲折はあったのでしょうか?
坂崎:ありましたよ~。大学生のときにデビューしたんですが、1枚目はね、デビューシングルだし、いろいろお金かけてもらったんですけど、全然売れなくて。
桜井:2枚目も売れないから、3枚目でちょっと趣向を変えて、パロディソングをやることになったんです。僕らのキャラもこんなだから、それも生かして。でも、前日に発売中止になっちゃって。そこでレコード会社を首になり、ちょっとヤバいぞと。
高見沢:とはいえ僕はまだ大学生だったし、事務所には入っていたのでいろんな歌手の人のバックバンドとかやったりしてたんで、そんなに危機感はなかったかな。ただ周りの人たちが、“こいつらなんとかしてやらなきゃいけない”って思ってくれて、いろいろ手を差し伸べてくれてね。
――もう音楽はやめて会社員になろう、とかは思わずに?
坂崎:だって周りの人がいろいろしてくれるから…(笑)。
高見沢:(笑)。でもやめるって選択はなかったねぇ。
桜井:やめるきっかけもなかった。バックバンドの仕事は入ってるし、なぜか公開録音の番組とかにキャスティングされちゃうし。
――でも、再デビューできる兆しもないわけですよね? 心が折れそうになりませんでしたか?
高見沢:だってデビューでまったく売れなかったことで、折れてますからね、すでに。ポキッと。それで、発売中止でさらにボキボキ。
桜井:折れっぱなしですよ。折れたことにも気づかないくらい。
高見沢:もちろんね、売れたいとか思いましたけど、僕らってなんか、野心とか、前に前にとか、そういう気持ちがあんまりないんです、昔から。
坂崎:さっきも言いましたけど、3人できれいなハーモニーが作れれば、満足なんですよ。
高見沢:この話、よくするんですけれど、僕が楽曲を作りますよね、で、「さあ誰が歌いましょう?」ってなると、3人揃ってシーン。誰も歌いたがらない(笑)。しょうがないから一人ずつ歌って、「誰がいい?」って3人で多数決をとる。「桜井がいい人、は〜い」
坂崎:「は〜い」
高見沢:「じゃ、桜井ね」って、そういう感じ(笑)。でも、3人揃ってその性格だからこそ、45年間やってこられたんじゃない?
坂崎:バンドって普通、中心になるメンバーの色で、雰囲気が決まったりするじゃないですか。でもアルフィーって、それがないんです。わかりやすい特徴がない。
――それはメインボーカルがいないバンドだから、ですか?
坂崎:そう。アルフィーの何が他のバンドと違うかって、たぶんそこなんですよ。色がない。なんか、モヤモヤしてるんですよ。
高見沢:だから、売れるのに9年近くかかったんだよね。
坂崎:たぶんそういう意味では、今でもモヤモヤしてる(笑)。
桜井:フロントを譲り合うバンドだからね。
坂崎:ずーっと、どうぞどうぞ、ですから(笑)。
デビュー45周年記念のアルバム『Battle Starship Alfee』(ユニバーサル ミュージック)が好評発売中。通常盤¥3,000、それぞれ異なるライブ音源付きの初回限定盤A、B、トークCD付きの初回限定盤Cは各¥3,700。また、8月3・4日に幕張メッセ国際展示場でデビュー45周年記念の夏のイベントライブ「Battle Starship Alfee 2019 夏の乱」を開催。また3人の初のレギュラー出演ラジオ『THE ALFEE終わらない夢』が、毎週水曜23:00~NHK-FMにて放送中。
ジ・アルフィー 左・桜井賢、1955年生まれ、埼玉県出身。Vo&ベース担当。中・坂崎幸之助、1954年生まれ、東京都出身。Vo&アコースティック・ギター担当。右・高見沢俊彦、1954年生まれ、埼玉県出身。Vo&ギター担当。1974年にデビュー、『メリーアン』『星空のディスタンス』などのヒット曲で知られる。
※『anan』2019年7月10日号より。写真・森山将人(TRIVAL) 撮影協力・AWABEES
(by anan編集部)
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