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馴染みのある漢方薬にも実はあのスパイスが!?
「スパイスと聞くと、カレーやエスニック料理など、調味料としてのイメージが強いかもしれませんが、実はスパイスの多くは漢方で言うところの『生薬』なんです」と漢方薬剤師の久保田佳代さん。
「例えば、漢方胃腸薬である安中散という処方には、シナモン(桂皮)やリコリス(甘草)が含まれています。普段、私たちが薬として認識しているものが、実はスパイスだったりするんです。日常的に、たくさんのスパイスを料理に使うインドの家庭では、母親が家族の体調に合わせて、その日の食事に何を使うか選んでいるそう。まさに、普段の食生活からスパイスでカラダの調子を整えています。インド人ほどは詳しくなくても、まずは、香りが気になったから使ってみる、というように気負わずに試してみてください。ちなみに、香りが気になるというのは、カラダが欲している証拠。あながち間違った選び方でもないんです。ただし、いろいろな種類のスパイスを混ぜすぎないこと。生薬である以上、主作用と副作用があります。互いが邪魔し合って、せっかくの働きを感じにくくなってしまうかもしれません」
特に、暑くなるこれからの季節に向けて、夏バテ対策にはスパイス料理がぴったり。
「室内外の温度差によって自律神経が乱れたり、発汗異常で体温調節がうまくいかなかったりと、夏バテの原因は様々です。でも、オフィスだと自分の体調に合わせて温度を調節するのが難しかったり、夏バテに効く栄養価の高い食べ物を食べたくても、そもそも食欲が湧かなかったり…。そういう時こそ、普段の食生活から食欲増進や自律神経を整える働きのあるスパイスを取り入れるのがおすすめです。今回は、夏に食べたい4つのスパイスを選びました。どれも効能が期待できるだけでなく、料理にも使いやすいスパイスです」
【フェンネル(小茴香 しょうういきょう)】夏の弱った胃腸の調子を整えてくれる。
漢方系の胃腸薬などにも配合されているフェンネルは、胃腸の調子を整えたり、食欲不振を改善してくれる。インド料理店などでは、食後の口直しに提供されることも。成分が多いのは種子。
【カルダモン(しょうずく)】消化を助け、香りで気持ちをリラックス。
カルダモンは、唾液や胃液を出やすくしたり、消化を助けてくれる働きが。上品な香りの芳香性のスパイスで、口臭予防や自律神経を整えるリラックス効果も期待できる。成分が多い部位は実。
【ターメリック(宇金 うこん)】肝機能を助けるだけでなく、血の巡りもスムーズに。
ウコンドリンクなどでお馴染みのターメリックは、弱った肝臓の働きを助け、また胃を元気にしてくれる。鮮やかな黄色をしており、カレーには欠かせないスパイス。成分が多いのは根や茎。
【クローブ(丁字 ちょうじ)】登山などでも重宝される強壮効果で夏バテ予防。
食欲減退をやわらげ、胃腸の冷えを取ってくれる、刺激的な香りのスパイス。また、標高の高いネパールなどでは強壮効果を期待して、生薬として使われる実の部分を直接噛む習慣もある。
くぼた・かよ 漢方薬剤師。心理カウンセラーの資格も持ち、自身が経営する氣生薬局で漢方をベースとしたカウンセリングも行う。スパイスに関するセミナーなども実施。www.kiokio.net
※『anan』2019年6月5日号より。写真・津留崎徹花 スタイリスト・西崎弥沙
(by anan編集部)
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