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現代の社会問題に迫る『12か月の未来図』!
【映画、ときどき私】 vol. 224
パリの名門高校で教えるベテラン教師フランソワ・フーコー。知的なブルジョア一家で育ったことに疑問を感じることなく生きていた。そんなある日、偶然の出会いがきっかけで、郊外の中学校へ1年間赴任することとなってしまう。
そこでは、移民や貧困などの問題を抱える生徒が多く、フランソワはカルチャーショックに打ちのめされることに。しかし、いままで感じたことのない使命感に駆られ、生徒たちの意識改革を開始することを決意するのだった……。
フランスのみならず、日本でもたびたび話題として取り上げられている教育の問題。今回は、難しいテーマに真正面から向き合ったこちらの方に、お話を聞いてきました。それは……。
フランスのオリヴィエ・アヤシュ=ヴィダル監督!
広告代理店のクリエイター、フォトジャーナリストを経験したのちに映画監督となったオリヴィエ監督ですが、本作で長編監督デビュー。そこで、監督が感じた教育の問題点や自身の経験について語ってもらいました。
―もともと教育の問題に長年関心があったそうですが、きっかけがあれば教えてください。
監督 自分の子どもたちがこの作品に登場する生徒たちと同じくらいの年ごろということもあり、子どもを取り巻く教育環境というものに父親の視点から関心を持ち始めたんだ。
あとは、ルポの仕事をしていたときに、ほかの国々を訪れるなかで教育にはいろんな問題があると感じていたことも大きかったかな。
―ご自身のお子さんが同じような問題を抱えていたということはありましたか?
監督 娘はすごく優等生だし、そういうことはなかったね。ただ、息子の方はちょっと問題があったから、よく先生に呼び出されたこともあったよ(笑)。
映画には学校で実際に見た事実を反映させた
―今回はリアルさを追究するため、2年間中学校に通い、500名の生徒と40名の教師と一緒に学校生活を送ったそうですが、それほどまでに徹底したリサーチを行わなければならないほど、根深い問題があると感じましたか?
監督 僕にとって、2年というのは最低限。リサーチでは、年度末を2回と学年の始まりを3回経験してようやく少しわかり始めたと感じたほどだったけれど、どっぷり浸かることは本当に大事なことだったよ。そのあと、シナリオも書かなければいけなかったから、撮影も含めて企画から4年かけて作ったことになるかな。
ただ、今回の作品は実際に自分が見て、経験したことが実ったからこそできた“果実”のようなもの。問題を起こした生徒の処分を決定するときに学校で行われている指導評議会というものも、外からではわからなかったけれど、その場に立ち会って体験することができたからこそ、映画にすることができたと思っているんだ。
―学校に2年間通うなかで、忘れられない出来事や衝撃を受けたことがあれば教えてください。
監督 それはやっぱり指導評議会に参加したときかな。ある日、校長先生から「生徒を退学にさせるつもりはないですが、指導評議会があるので見に来ますか?」と言われたので、単なるレクチャーのつもりで立ち会って話を聞いていたんだ。
話し合いが終わったあとに、その生徒と外に出て、「君は退学させられないんだから、先生にありがとうと言うんだよ」と伝えていたのに、結果は退学。僕としてはかなり困惑したけれど、そのあとの手続きなども含めて、これはシナリオに取り入れるべきだと感じたよ。だから、劇中で先生たちがいかめしい顔で会議室に並んでいた指導評議会というのは、僕が体験したものでもあるんだ。
いまは昔よりも規律が厳しいと感じる
―確かに、指導評議会の実態を知らない観客が多いと思うので、非常に興味深いシーンだと感じました。
監督 実際、指導評議会がどういうもので、フランスでどういう機能を果たしているのかというのを調べてみたら、すべての学校を合計するとなんと1年間に1万7000人もの生徒が退学させられていることがわかったんだ。つまり、1日に約100人が退学させられているということなんだよ。
―それは驚きの数字ですね。では、学校の雰囲気など、ご自身の学生時代といまで変わったと感じることはありましたか?
監督 学力のレベルとしては、僕の時代に比べるとおそらく少し低下しているかなと思うんだけれど、規律という面では、いまの方が正しいと感じたよ。なぜなら、僕が学生時代だった1980年代というのはいまよりも暴力的で、休憩時間に校庭でケンカはしょっちゅうしていたし、トイレで隠れてタバコを吸うなんてこともあったからね(笑)。
でも、いまは規律が厳しすぎて先生が統制していると感じたよ。火災報知器を鳴らすなんてことは昔からよくあることだけれど、いまだったらすぐに指導評議会にかけられて、下手したら退学ということにもなりかねないからね。
ただ、規律が正しくなった分、セキュリティの強化という面ではよくなっているとは言えるんじゃないかな。たとえば、いまは車のシートベルトを必ず締めるし、テロを防ぐために飛行機の空港ではたくさん検査されるけれど、それは「規律=安全強化」ということに繋がっているからね。
生徒よりも親の問題が大きい
―日本でも同じようなことが言えるかもしれません。その反面、いまは何かあるとすぐに問題だと言われたりすることもあるため、教師も生徒との距離感をどう取るべきか難しい部分もあると思いますが、フランスではどのような状況ですか?
監督 フランスも同じことが起きていると思うけれど、この問題は生徒というよりも、親からきていると思うよ。というのも、昔は先生といったら偉い人だから、親も何でも受け入れていたけれど、いまは親も口出しをするようになってきているからね。
先生からすると、すべてをコントロールできればいいんだけど、そうできなくなっているということ。たとえば、僕が撮影現場で監督として指示しているのに、周りから「それはちょっと……」と横やりを入れられたら仕事が進まないのと同じだよね? 学校の現場でも教師は両親からのプレッシャーや苦情にかなり悩まされているんじゃないかな。
教師にもデリケートな部分があることを知った
―とはいえ、監督も子を持つ親として、親の立場もよくわかるようになった部分もあるのではないでしょうか?
監督 もちろん、100%わかるよ! ただ、教師にもなかなかデリケートな部分があるんだなと感じたこともあるんだ。実は、僕の息子が国語の先生に呼び出されたとき、僕も同席したんだけれど、そこで言われたのは、3冊ある本のうち1冊を課題として読まなければいけないということ。
それで、息子は一番薄い本を選ぶことにしたんだけれど、そのときに僕は「それぞれの本がどういう作品かということを息子に説明しましたか?」と先生に尋ねてみた。そこで、「説明していないです」と返されたから、「子どもたちがこれを読みたいという意欲を起こさせるようにするのが教育じゃないんですか?」と進言してしまったんだ。そしたら、「あなたは私の教育方法にケチをつけるんですか!」という風に言われてしまったよ(笑)。
僕自身も学生時代は難しい生徒だった
―親と教師の関係も難しいところなんですね。ちなみに、監督は人生を変えてくれるような先生との出会いは学生時代にありましたか?
監督 いや、僕はなかったかな。というのも、実は僕もちょっと難しい生徒で、「こうしなさい!」と言われて素直に従うほうではなくて、反抗的なところがあったからね(笑)。
―そういう意味でも、監督が思う理想の先生像がフランソワ先生に込められているのでしょうか?
監督 というよりも、実際にこういう先生がいることを2年間の準備期間中に知る機会があって、彼の名前もフランソワっていうんだ。彼は本当に熱血な先生だったよ。
他人や社会に惑わされないで欲しい
―監督という立場も、クラスをまとめる先生のような役割を現場でしていると思いますが、スタッフや子どもたちとの向き合いで大事にしていたことはありますか?
監督 リーダーとして現場で意識していることは、自分自身のガイドラインはしっかりと持ちつつも、それを周りに押し付けないということ。なぜなら、それぞれの人が持っている潜在能力を自然に出せるようにしたいからなんだ。もちろん最終的に決めるのは僕だけど、それぞれの意見を言えるような環境作りには気を付けているつもりだよ。
―それでは最後に、監督自身がこの作品を通じて伝えたい思いをメッセージとしてananweb読者へ向けてお願いします。
監督 僕が日本の女性にアドバイスするにふさわしい人間かどうかはわからないけれど、もし自分がやりたいと思うことがあれば、他人の意見や社会の圧力には惑わされないこと。何よりも大事なのは自分の気持ちだということは伝えておきたいと思うよ。
未来は自分次第で書き換えられるもの!
堅物のエリート教師と問題児たちの交流をユーモアとともに描き、爽やかな感動に包まれる人間ドラマ。子どもだけでなく、大人でも響く言葉の数々は、心に留めておきたいものばかり。誰でも、どんな環境でも、学ぶことで人は成長できるのだと気づかせてくれるはずです。
希望を感じる予告編はこちら!
作品情報
『12か月の未来図』
4月6日(土)より、岩波ホール他全国ロードショー
配給:アルバトロス・フィルム
©ATELIER DE PRODUCTION – SOMBRERO FILMS -FRANCE 3 CINEMA – 2017
http://12months-miraizu.com/
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